個別塾講師として3
こんにちは、たなかです。
最近は仮面浪人の話ばかりしていましたが、以前はてなブログで私のアルバイト先である個別塾での出来事を書いた時期がありました。
過去の『個別塾講師として1.2』に続く話でありますが、iPhoneのメモから掘り出せたので乗せようと思います。数か月前のブログで書き方などが最近と異なりますが、そのまま載せます。
つい先日授業を担当したDくん。中学三年生の男子だ。
中学三年生だから受験を見越して通塾している。頭の良さは中の上。そこそこできる人だ。真面目に話を聞くし、吸収率も高い。
80分間の英語の授業が終わった後、私がもう片方の生徒に宿題の範囲を提示しているとき、D君は塾の数学の教材を取り出して何か言いだした。
「この教材に一体いくらかかってんだよ。紺なのただのコピーじゃねえか。」
私はこの言葉をはっきりと聞いた。しかし、反応できず、もう片方の生徒に宿題の範囲を無駄に2度3度いって、必ずやってくるよう伝え、Ⅾくんの言葉を聞かなかったことにし、その場をしのいだのだ。
確かに聞こえたあの言葉。
なかったことにした後、Ⅾくんにお疲れ様と声をかけた。それに対しⅮくんは「ありがとうございました。」とだけ言って去ってしまった。
問題の数学の教材だが、テキストではなく、少し上質な紙に問題をコピーしてそれをホチキスで留めたようなものだ。たしかにそれでお金を取っている。アルバイトだからそれにどれだけの単価があるのかはわからないが。
一般に塾に通うというのは多大な費用がかかる。前々回でも述べたように個別指導ならなおさらだ。
近年大学全入時代と呼ばれるようになってきたが、その中で塾というのは大きく成長している。それは高い授業料、オリジナルテキストによる利益でだ。塾講師の時給が高いのもつまり、そういうことだ。
人間の心理も不思議なもので、クラスの他の子が塾に行きだすと、自分も行かなきゃ置いて行かれると思うことが多い。だから塾に行かなきゃと親を説得する。
とりあえず塾に行きたいという子はほとんどこう言うだろう。
「友達もみんな行ってる!行かないと合格できない!」
当然親は生活費を切り詰めて子供を塾に通わせる。高い授業料のために共働きを選択する家庭も多いだろう。
なのに、通ってみたら成績が伸びないし、集中もできない。
最初は自分から通いたいと言っていたのに、いつしか授業を受けさせられている、塾に通わされている。そう思うようになる。
本当に無駄である。親の苦労を考えると涙が出てくる。現状を親が知れば、血の涙を流すことは間違いない。しかし、塾に通わせて意味がないのを知るのは受験に失敗してからだ。
人には向き不向きがある。どんな子もとりあえず塾に行かせておけば成績が伸びるというのは間違いだ。逆に生徒に合わない勉強方法を押し付けられて、伸びしろをおばわれてしまうことすらある。
まずは自分の力で成績を上げようとするのが大事なのではないか?塾に頼らずに。
実際何年も通塾して、塾に通うことは当たり前、成績が上がってないのにもかかわらず、通って勉強している気になっているという人は多いのではないか?本当は意味もなくお金を失っているだけなのに。
いろいろな生徒に授業をして、淡々と仕事をするようになった。しかしⅮくんの言葉で僕の考えが変わった。中には、親の金を心配し、努力しようとする生徒がいるのだと知った。
せっかく高いお金を払って通ってきてくれているわけだから。そういう子には満足して帰ってもらいたい。そういう思いが強くなった。
相変わらず、塾に来ても来なくても変わらないんじゃないかってくらい意志の弱い生徒はたくさんいるがそれを変えるのが先生の役割。だから当たり前だが、生徒に影響される先生ではなく、生徒に良い影響を与える先生になりたいと思った。おわり。
長々と読んでいただいた方ありがとうございました。
個別塾講師として1,2は数か月前の記事に載っているので、しょうもない文章ですが、読んでいただけると嬉しいです。